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【獣医師コラム】予防薬の飲み忘れに注意!犬のフィラリア症

【獣医師コラム】

予防薬の飲み忘れに注意!犬のフィラリア症




こんにちは!

西東京市田無のエルザどうぶつ福祉病院です。

 

今回は、わんちゃんの犬糸状虫症(フィラリア症)の話です。

フィラリア症はフィラリア(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)という寄生虫が寄生することによって起こる病気です。

寄生虫というと、サナダムシや回虫のような、腸内に寄生してうんちに出てくる虫を想像する方が多いかもしれませんが、フィラリアは血管や心臓の中に寄生し、治療をしないと生命を脅かすおそろしい病気です。


【原因】

フィラリアの子虫(ミクロフィラリア)が蚊の媒介によってわんちゃんの体内に入り、犬の皮下や筋肉の中で少しずつ成長します。その後は血管に入り、感染してから約半年後には心臓や肺動脈に住み着いて“そうめん”のように細長い白い成虫となり、さまざまな症状が現れるようになります。

寄生した成虫は体内で何年も生き続けるため、治療しないと病状が徐々に進行していくのが特徴です。

 

【症状】

フィラリア症の初期症状として、時折乾いた咳をする様子が見られます。

元気がなくなり散歩を嫌がったり、呼吸が浅く軽い運動で疲れるようになったりします。

症状が進行すると、常に貧血気味で口や目の粘膜が白っぽく見えたり、腹水によってお腹が出てきたりと見た目に変化が現れます。


また、肺の働きが低下するため、軽い運動でも呼吸困難を起こし失神をすることがあります。

血色素尿や咳をすると血が出るなど深刻な症状が見られた場合は、すでに感染から何年か経っている可能性があります。

重度の犬糸状虫症であっても手術での摘出や治療薬によって治る可能性はありますが、一度傷ついた臓器は完全には元に戻りません。

そのため早期の発見や治療、また、そうならないための予防が重要です。

 

【治療や予防】

フィラリア症の治療として、感染の原因となる成虫の数が少ない場合や、まだ症状が現れていないときには予防薬を長期投与する方法があります。副作用に注意して慎重に投薬をしていきます。

また、成虫の寄生が多い場合は外科手術によって成虫を摘出する方法や、薬剤の投与が行われる場合があります。

 

フィラリア症の予防は予防薬を投薬期間を守ってしっかり投与すれば、ほぼ確実に予防することが可能です。

予防薬には月に1回投与するタイプだと、錠剤タイプ、チュアブルタイプ、スポットタイプがあり、確実に投与できるのであればどのタイプでも大丈夫です。

この予防薬の投薬は蚊によって感染したミクロフィラリアを駆除する駆虫薬になります。

これにより、ミクロフィラリアのうちに駆除をして心臓へ成虫が寄生する事を防いでいるのです。

そのため、予防期間中、1回でも予防薬の投与を忘れた場合、フィラリア症になるリスクが高くなります。


関東では12月までの投薬が必要です。

寒くなってきたからといって投薬を忘れないように気を付けましょう。

また、予防薬の投薬時にミクロフィラリアが既に体内にいた場合、そのまま予防薬を投与すると一度に大量のミクロフィラリアが駆除されて血栓などになり、ショック症状が出るという副作用にも繋がるため危険です。

毎年、フィラリアの予防薬を投与する前に必ず病院での血液検査を行い、フィラリアに感染していないことを確認することが必要です。

 



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