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【獣医師コラム】マダニに注意!



【獣医師コラム:マダニに注意!】

こんにちは!

西東京市田無のエルザどうぶつ福祉病院です。

 

今回は、わんちゃん、ねこちゃんのマダニの話です。


マダニは多くの病原体を媒介します。そのため、吸血による皮膚炎や貧血だけでなく、命さえおびやかす病気にかかる危険性があります。これはペットだけでなく人への感染症も報告されていますので飼い主さんも注意が必要です。

 

マダニは西日本を中心に日本全国ほとんどどこにでも生息していますが、中でもマダニが特に好む場所として知られているのが、山林や川原の土手などの草むらです。「別にうちのペットは山や川へは行かないから」と安心している飼い主様も、要注意です。都市部の公園などでもマダニが生息しているのでお散歩などでもマダニに寄生する危険があります。

 

【症状】

・皮膚炎

マダニに吸血されるため、その部分の皮膚炎が起こります。

・貧血

マダニが多数寄生することなどで大量に寄生・吸血された場合には、貧血を引き起こします。

・アレルギー性皮膚炎

マダニの唾液がアレルゲンとなるため、強いかゆみと皮膚炎を引き起こします。

ダニ麻痺症

唾液中に毒性物質を含むマダニに吸血されることで、神経障害(弛緩性麻痺)を引き起こします。

 

上記はマダニだけによる病気ですが、マダニが媒介する病原菌による感染症は、「バベシア症」「日本紅斑症」「ライム病」「Q熱」「エールリヒア症」など多数の病気があります。

わんちゃん、ねこちゃんがこれらの感染症にかかった場合は、発熱・食欲不振・リンパ節の腫脹だけでなく、ダニの毒性物質で神経障害が症状として起きるような重い症状になることもあります。

恐ろしいことに、マダニは人にも害をもたらします。

わんちゃん、ねこちゃんと同様に吸血されると皮膚が大きく腫れあがりますし、感染症にかかる可能性もあります。

近年特に注意しなければならないのが人獣共通感染症の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」です。発熱や嘔吐、血尿・血の混じった慢性的な下痢が主な症状で、致死率は10~30%と高いです。

 

【治療や予防】

定期的に予防薬を投薬することで、予防することができます。

マダニ駆除をする際には、スポットタイプやオヤツタイプなど様々な予防薬がありますので、種類や方法、時期などについて、かかりつけの動物病院にご相談ください。関東では暖冬の影響もあり、一年中予防することが推奨されています。

 

すでにわんちゃんやねこちゃんにマダニが寄生している場合は駆除のために駆除薬を投与します。マダニを無理に引きちぎると顎の部分が皮膚に残り、皮膚の化膿や腫れを引き起こしてしまうことがあるため、寄生が確認された場合は動物病院に行きましょう。

マダニのいる草むらを避たり、ブラッシングや頭や耳、目の縁やお腹、足の指の間や背中などをチェックしてあげることも大切です。


 



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